第18章 なぜ直立二足歩行が進化したか(I)直立二足歩行の欠点
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化石記録を見る限り、この2つはほぼ同時に進化したようだ
ということは、この2つの特徴が人類というものを誕生させた可能性が高い
ヒトは変わった生物
700万年前に分岐
この独自の進化の道を歩み始めた生物を「人類」という チンパンジーと分岐した後の、ヒトに至る系統に属する生物
人類は何種もいたことがわかっている
研究者によって数は異なるが、多めに数えれば25種ほど
化石を見る限り、人類がチンパンジーを含む系統と分kした直後に進化させた、と思われる特徴が2つある
類人猿も直立二足歩行をした?
体幹(頭部と四肢を除く胴体の部分)を直立させ、足を交互に踏み出して、前進すること ただの二足歩行とは違い、止まったときに頭が足の真上に来る
ただの二足歩行をする生物なら、人類以外にもたくさんいる
現生の生物の中には人類以外に直立二足歩行をするものはいない
絶滅した生物の中には直立二足歩行をしていたかもしれないものがいる
約900~700万年前に、現在のイタリアのトスカーナ地方にあたる、地中海の島に住んでいた
頭蓋骨が脊椎とつながるところでもあり、脊髄という神経が通る穴でもある ヒトは直立二足歩行をするので、頭が脊椎の真上にあるため、高う投稿は、頭蓋骨のちょうど真下に開いている
私達は四つん這いになると顔が地面の方を向いてしまう
四足歩行をする動物では、無理なく前を見ることができるように増したから後ろ側に少しずれたところに開いている 骨盤や大腿骨や足首の骨なども参考にすると、オレオピテクスは人類と類人猿の中間的な歩き方、つまる不完全な直立二足歩行をしていた可能性がある
ある説ではオレオピテクスが島に住んでいたことが直立二足歩行を始めた原因だという
大型の肉食獣は小さな島では生きられない
子孫を残しながら代々続いていくためには、少なくとも数百匹ぐらいの個体数が必要
島には生物が少ないので、そんなにたくさんの肉食獣が生きていけるだけのエサはない
もしも大型の肉食獣がいなければ、オレオピテクスがわざわざ木の上に逃げる必要はない
そこで地面に下りて、直立二足歩行を始めたという
直立二足歩行による移動はエネルギー効率がよいし、低い枝に実る果実を手で取るにも便利
ただし反論もある
オレオピテクスの手足には樹上生活に適応していた特徴も見られる
したがって、オレオピテクスに直立二足歩行的な特徴が見られるのは、枝にぶら下がったときに、体が直立姿勢になるからだという
残念ながらオレオピテクスが本当に直立二足歩行をしていたかどうかは、はっきりとはわからない
しかし、もしも直立二足歩行をしていたとしても、それは不完全な直立二足歩行だったし、進化の歴史の中では一瞬の出来事に過ぎなかった
オレオピテクスは、島が大陸とつながって大型の肉食獣がやってきた時点で絶滅した可能性が高いからだ
地球上の生物は素晴らしい多様性を示し、40億年におよぶ長い歴史を持っている
それなのに、完全な直立二足歩行が進化したのは人類だけ
空を飛ぶ能力を進化させるのはかなり難しいと考えられるが、それでも生物は4回も進化させた
直立二足歩行の利点
直立二足歩行が進化した理由に関する従来の説
太陽光が当たる面積が少なくなる
アフリカのサバンナでは強烈な日差しが容赦なく照りつけてくる サバンナは草原なので樹木が少なく、なかなか木陰で休むわけにもいかない
直立姿勢をとることによって、太陽光が当たる面積を減らした
頭部が地面から離れるので涼しくなる
ジャングルの場合は樹木が太陽光を遮ってくれるのでそれほど地面は熱くならない
サバンナの場合は照り返しも強烈
頭部が地面から離れていれば、反射光や地熱が軽減される
遠くが見渡せる
草原で肉食獣に襲われないためには、少しでも速く肉食獣を見つける必要がある
立ち上がった方が遠くまで見えるのでよい
大きな脳を下から支えられる
ヒトの頭部はかなり重く、だいたいボウリングのボールくらいある
直立二足歩行なら重い頭を真下から支えられる
両手が空くので武器が使える
これはかつてとても人気がある説だった
次章で詳しく
エネルギー効率がよい
チンパンジーとヒトで歩行するときのエネルギーを測定した実験が行われているが、実ははっきりした結論を出すことは難しい
そもそもチンパンジーとヒトでは体の構造が違うのだから、チンパンジーの四足歩行とヒトの二足歩行のエネルギーを比べてもあまり意味はないだろう
いくつかの研究から総合的に考えると、四足歩行より二足歩行の方が、エネルギー効率がよい可能性は高い
両手が空くので食料をはおベル
次章
以上の7つとも、それぞれもっともな説
よいものであるならば、なぜ人類以外で進化しなかったのだろう
特に1~3つ目の説は、サバンナで直立二足歩行をしたときの利点
サバンナで直立二足歩行をすることが有利なら、サバンナで直立二足歩行をする生物が進化したってよさそうなものだ
また近年では化石記録より、最初に人類が進化したのは草原ではなく、森林や疎林のような樹木がある環境だったと考えられるようになった
1~3目はおそらく正くないだろう
4~7が正しいとして、なぜこれまでに森林や疎林で直立二足歩行をする生物が進化しなかったのか
おそらく直立二足歩行には、色々な利点をすべて帳消しにするくらいの重大な欠点があるのだろう
直立二足歩行の欠点
フランスの数学者であるパスカル(1623~1662) 「(人間は)自然のなかで最も弱いものである。だが、それは考える葦である。彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。蒸気や一滴の水でも彼を殺すのに十分である(前田陽一、由木康訳、中公文庫)」
ヒトはかなり大きな生物
霊長類は約500種いるが、ヒトはその中で2番目に大きな霊長類
身体の大きさがそのまま強さになるわけではないが、しかし両者が関係していることは明らか
ヒトはライオンには襲われるがネコには襲われない
ネコを恐れる生物もたくさんいる
パスカルの言葉に共感する人が多いのは、他の動物に比べて走るのが遅いという強烈なコンプレックスを持っているから
肉食獣の中では走るのが遅いクマやライオンだって、オリンピックの短距離金メダリストより速く走れる でもそれは肉食獣よりも走るのが速いからこそいえることだ
もしヒトがサバンナでライオンに見つかったらもうおしまいだ
長距離走は得意かもしれないが、短距離走は苦手なのが直立二足歩行
やはり走るのが遅いと草原では生きていけないのだろう